バルセロナが4−3−3のフォーメーションを使う理由 クライフの守備基盤

どうも皆さんこんにちは。footballpossessです。

今回はバルセロナが4−3−3(アンカーを入れる)を使う理由についてやっていこうと思います。

サッカーのフォーメーションってたくさんあるかと思います。

4−4−2、4−2−2−2、4−2−3−1、4-1-4-1、3-4-3、3-1-2-1-3、5-4-1、5-3-2など数えたらいくつあるのかは正直わかりません。

さらに攻撃重視なのか、守備重視なのか、バランス重視なのかなど戦術によって各選手の役割も大きく変わってくるかと思います。

その中でバルセロナというチームは4-3-3というフォーメーションを長年使用してきました。

数あるフォーメーションがある中でなぜ4−3−3をベースとして使用しているのでしょうか。

まずバルセロナの戦術はヨハン・クライフの考え方に大きく影響を受けているのは皆さん承知でしょう。クライフイズムを継承していると言っても良いでしょう。

ヨハン・クライフは選手として1973年~1978年にバルセロナに在籍しておりました。選手としてはドリブル突破を試みるシーンがよく散見されました。

さらに監督として1988−89シーズンから1995−96シーズンを率いました。エル・ドリームチームと言われるまでのチームを作り上げ、クラブ初のチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)を制覇する偉業を達成致しました。

サッカーをやっていてクライフの名前を知らない人は少ないと思いますが、人物としてはどのような人なのでしょうか。

クライフの残した言葉を見ていきましょう。

引用:[https://www.goal.com/jp/news/4115/コラムインタビュー/2016/03/25/21677682/コラムヨハンクライフ-すべての始まり]

2016年(68歳)で逝去されたヨハン・クライフ

引用:[https://www.soccer-king.jp/news/world/ned/20160328/425774.html]

「選手はあらゆるポジションでプレーできるべきだと、私は考えている。だからこそ、全選手が戦術に関する説明をくまなく聞くことが重要だ。たとえ左ウィンガーであっても右サイドバックの話だからといって寝ていてはならない」

「結果が伴わないクオリティは無意味だ。しかし、クオリティが伴わない結果は退屈だ」

「私は1-0よりも5-4で勝つことを望む」

「フットボールは常に魅力的かつ攻撃的にプレーし、スペクタクルでなければならない」

「ゴールを決めるためには、シュートを打たなければならない」

「ボールを持て。ボールは1つしかない。常にボールを持てば、ディフェンスをする必要はない」

「ボールを持っているならば、できる限りピッチを広げなければならない。一方、ボールを持っていないならば、できる限りピッチを狭めなければならない」

「自分が走る必要はない。ボールを走らせろ」

「ボールを扱う時、ワンタッチでプレーできれば素晴らしい。ツータッチもまずまずだ。しかし、スリータッチでは駄目だ」

「スピードはしばし判断力と混同されている。私は他の選手よりも早く走り始めるので、速く見える」

「的確なポジショニングを、的確なタイミングで取らなければならない。早くても遅くても駄目だ」

「私のチームでは、ゴールキーパーがファースト・アタッカーで、ストライカーがファースト・ディフェンダーだ」

上記の言葉から垣間見えるように、クライフは、サッカーにおいてボールを保持する攻撃を重要視しています。

その考え方は現在のバルセロナまで浸透していますが、特に印象が深かったのが、ジョゼップグアルディオラが率いていたシーズンではないでしょうか。ペップのサッカーは常に最先端を走っていましたが、クライフが生み出したサッカーが基盤となっており、あのような美しいサッカーに進化したのです。

では、ボールを保持するためにクライフの作った基盤とは一体どの様なものなのでしょうか。見ていきましょう。

ウイングが戦術の鍵

クライフの考えは、「攻撃の範囲は広く、守備の範囲は狭くプレーしなければならない」という考えです。

ピッチ全体を使った攻撃は、ボールを奪われづらく、縮小されたピッチではボールを奪いやすいという考えなのだろう。

その考えを戦術に組み込んだときに、必要となるのがウイングの存在でした。

攻撃時にはタッチラインの線を踏むくらいにワイドに開きボールを受けることで、相手の可動域を広くします。攻撃についてのイメージはしやすいかと思います。

しかし、クライフの戦術のウィングの使用は守備にこそ効果を発揮しておりました。

数的優位を作るためのウィング

さてここからが、クライフが4ー3ー3を使用していた理由に繋がります。

相手にボールを持たせないためにもプレッシングを行うのがクライフの考えです。

ですが過度なプレッシングは失点に繋がりかねません。

そこでクライフの取った策がウイングの存在です。

ビルドアップはセンターバックから始まります。

現在のサッカーでは、プレッシングを行う際、センターバックへ猛プレスをかけるチームも見かけますが、クライフは違いました。

センターバックからのファーストパスを出させないようにするのがクライフの考え方です。

まずはセンターフォワードが相手ボランチまたは、アンカーの位置まで引いてきます。

相手のボランチは通常2.3人ですので、バルサの中盤3人+センターフォワード1人で対応することができます。

次にウイングの役割ですが、基本的なマークはサイドバックになります。相手のビルドアップ時のセンターバックがボールを持っている時はセンターバックとサイドバックの間に陣取りパスコースを封じます。

相手のセンターバックは中盤にパスが出せない、サイドバックにもパスが出せないという状況が生まれますので、センターバック同士のパス交換か前線へのロングパス、ドリブルで持ち上がるぐらいしか選択肢がありません。

それがクライフバルサの狙いです。

当時のセンターバックは現在ほどの技術を持ち合わせている選手が少ないため、ドリブルで持ち上がるのは非常にリスキーです。パス交換も危い部分があります。

前線へのロングパスが、ファーストチョイスになることが多いのですが、バルサ側は中盤のエリアとディフェンスエリアの人数を合わせて8人に対し、相手は中盤と前線の人数を合わせて6人で戦わなければならない状況になります。

バルサはこの数的優位を利用してボールを素早く回収します。

ウイング2枚が相手ディフェンス4枚を抑えることでこの数的優位の状況を生み出したというわけです。

アンカーの役割

クライフの戦術でもう一つ鍵になるのがアンカーの存在です。

アンカーは守備時において数的優位を生み出すキープレイヤーとなっております。

数的優位を生み出すために相手のフォワードの人数で守備位置を変更させる仕事がアンカーの役目です。ウイングが作り出した数的優位の状況を生かす働きをしなければなりません。

相手フォワードが1人の場合は、味方のセンターバックが2枚おり、カバー状況が作れているので、アンカーは中盤で1人余りカバーに徹する仕事をします。つまり、中盤で数的優位を作る働きをするということです。ツートップで1枚中盤に降りてくる状況も考えられるので同様の対応をします。

相手フォワードが2人の場合は、センターバックが2人では数的優位は作れません。そこでアンカーが相手フォワードの1枚を見ます。アンカーがフォワードの対応をすれば、ディフェンスは1枚余ることが出来ますので、数的優位を作ることが出来ました。

相手がツートップの場合中盤の人数が減るので、アンカーがいなくとも数的優位が作れますので、中盤の対応も問題ありません。

この様に相手の前線の数に応じてアンカーの位置をずらして行くのが、クライフバルサの特徴の一つでした。

まとめ

クライフバルサは適切なボール回収のために中盤とディフェンスラインの数的優位を作り出すために、ウイングとアンカーに重要な役割を任せております。相手のセンターバックがボールを持った際にロングボールを蹴らせる様な仕組みを作り、ボール回収しやすい状況を生み出しております。

そのためにウイングとアンカーが存在する4−3−3を採用していたのだと思われます。

ボール保持を行うために守備の基盤を作る。そればクライフの戦術の第1歩目だとも言えるでしょう。

尚、この詳細は「バルセロナ戦術アナライズ」西部謙司 著書に記載されたものです。ご興味があればご覧になってみて下さい。

今回はこの辺りにさせて頂きます。失礼致します。