バルセロナ戦術の歴史 クライフのドリームチーム攻撃編

どうも皆さんこんにちは。footaballpossessです。

今回はバルセロナの戦術の歴史。クライフの率いたドリームチームの攻撃編やっていきたいなと思います。

前回のバルセロナが4−3−3のフォーメーションを使う理由 クライフの守備基盤

の続きになりますので、まだご覧になっていない方は是非先にご覧下さい。

クライフバルサは守備においてウイングが相手ディフェンス4枚を釘付けにし、中盤より後ろで数的優位を作ります。ビルドアップ時、相手センターバックの選択肢を闇雲なロングボールに絞ることで、迅速なボール回収を図ることは前回の記事でご説明致しました。

今回はボールを回収した後にどの様に攻撃に繋げるのかをバルサのフォーメーションろ合わせて解説していこうと思います。

クライフはボール保持にこだわる

「試合中に7割ボールを保持できれば、8割の確率で試合に勝つことができる。」これはバルサに伝わるある意味格言とも言える言葉です。

ボールを長く支配することで、試合を支配することができる。自分達はより多くの攻撃をしより多くのチャンスを作る。反対に相手はボールを保持することが出来ずに少ないチャンスしか与えられない。こちらはボールを動かすのに対し、相手は身体を動かさなければならないし、守備の時間が多ければ精神的にストレスを感じる。

これがバルサに伝わるフィロソフィーであります。

元々はアヤックスが採用していた、トータルフットボールが源流ですが、クライフはそれを言語化し、システムとしてチームに落とし込んだ人物だと言えます。

クライフはその哲学を貫いてドリームチームと言われるチームを作り上げましたが、どの様なやり方があったのでしょうか。

それを読み解くには、バルサのフォーメーションに付随しております。

基本フォーメーションは4−3−3

バルサの基本フォーメーションは4−3−3です。基本的には数的優位によりロングボールを蹴らせてボールを回収し、前線の3トップにボールを繋げるまでが第1段回です。

ドリームチームのバルサの前線はタレント揃いでした。ロマーリオ、ラウドルップ、ストイチコフ、バケーロの様な選手が前線に配置され、仕掛けの起点となっていました。

この様な技術のある選手が中央、またはサイドからドリブルで仕掛ける事により、相手のディフェンスラインを崩し、得点のチャンスを伺うというのが当時のバルサの戦術でした。

そこで、クライフが考えたのがどの様にして彼らにフリーでボールを持たせるのかです。彼らの才能をフルで発揮させるためにも、継続的なボール保持が必要でした。

つまり、クライフが4-3-3を採用したのはボール保持を行うためでありました。

当時、主流であった4-4-2を使用しなかったのは以下の理由になります。

結論から言うとワンタッチ、ツータッチで前線にボールを運ぶに当たって4-4-2は不向きだったのです。

4-4-2は横並びに3つのラインが出来ますが、センターバックからフォワードにパスを通すのに中盤を介すと2本の縦パスが必要になります。

確かに前線までのパス本数は少なく済むかもしれませんが、少ないが故に相手に読まれやすい且つ、プレッシャーを受けやすいデメリットがあります。

縦パスにつきましては角度2 縦でボールを受ける

をご覧下さい。

クライフの戦術は前線の選手ににフリーでボールを送ることですので、プレッシャーが厳しい状況は不本意です。

では中盤にボールが繋がったら横パスをすればいいのではないかと思いますが、横パスは、視野が狭くなり、ワンタッチ、ツータッチでボールを逆サイドに展開するのは困難です。

これもクライフの少ないタッチでのボール保持の考えに沿わないやり方です。

そこで、効果的な方法が4-3-3でした。

4-3-3であれば三角形を多く形成され、斜めのパスの本数が増えます。

斜めであれば、視野の確保が比較的容易になりますので、ワンタッチ、ツータッチのパスも増え、前線の選手もフリーで受けられる数が増えると言う考えです。

仮に、相手のプレッシャーが厳しい状況でもワンタッチ、ツータッチならばボールを速く動かせますので、プレッシャーを回避し、やり直すことができます。

斜めパスにつきましては

角度5 斜めで受けて三角形を作ろう

角度(段差)を付けた三角形を形成しパスを回す

をご覧下さい。

人が動くよりもボールが走る方が早いという、物理的な法則を利用したのでしょう。

3-4-3の併用

守備時に中盤より後ろで数的優位を作るのが、クライフバルサのやり方ですが、裏を返せば攻撃時は数的不利になります。

攻撃でも数的優位を作りたいクライフにとって、悩ましい問題ですが、攻撃時に3-4-3を採用することで、解決に努めました。

クライフは攻撃に積極的に参加出来ない、センターバックを攻撃の起点にするために1枚アンカーの位置に上げます。

当時はリベロと呼ばれていましたが、この位置に抜擢されたのが、現役時代のペップ・グアルディオラでした。大柄な選手ではありませんでしたが、戦術眼と技術に優れた彼をパスの起点にしました。

グアルディオラが中盤に上がり、長短のパスを織り混ぜることで、中盤での数的優位が作れ、前線の選手がより楽な状況でプレーをすることが出来るようになりました。

前線のスター選手を陰から支えていたのが、グアルディオラだったというわけです。彼の功労もあり、クライフのバルサはチーム初となるチャンピオンズカップ(現在のチャンピオンズリーグ)を制し、ドリームチームと呼ばれるようになったわけです。

まとめ

クライフのバルサが守備、攻撃のメカニズムを作ったため、ポゼッションサッカーという言葉が現在まで深く浸透したと言えます。

クライフ政権から15年ほどの月日が経ってペップ政権に変わったときは歴史上最強のチームと呼ばれるようにもなりました。

バルサを語る上では欠かせないのが、クライフの基盤だったと言えると思います。

2020年現在ではバルサは思うようなプレーができてはおりませんが、再度輝く姿を見たいですね。

今回はこの辺りにさせて頂きます。失礼いたします。